No.7 緒川 修治

緒川 修治

PDエアロスペース株式会社 代表取締役・チーフエンジニア

もはやSFの世界ではない!
民間主導の宇宙飛行機開発に挑む
宇宙ベンチャー社長の夢・実現力。

 

 

 

 

 

ビジネス編

パイロット、宇宙飛行士の夢を経て、宇宙開発事業へ。

パイロット、宇宙飛行士の夢を経て、宇宙開発事業へ。

もともとはパイロットになりたかったんですよ。年齢制限の26歳までにその夢は叶いませんでしたが、航空分野に関わりたくて飛行機を作る側に回りました。そして三菱重工で航空機の開発に携わっている頃、ちょうど宇宙飛行士の募集が始まって。年齢制限は40歳だから、まだ時間がある。それで、マッハ5の極超音速音速飛行可能なスクラムジェットエンジンの研究に力を入れていた東北大学の門を叩き、大学院で航空エンジンの研究をしながら宇宙飛行士になるための勉強をしていました。ところがそんな頃、スペースシャトルコロンビア号が地球帰還直前に空中分解してしまう大変ショッキングな事故が発生し、NASAの宇宙開発もJAXAの研究もストップしてしまいました。40歳のタイムリミットが迫る中、身の振り方を考えていると、アメリカのベンチャー企業が宇宙ロケットを開発・製造し、賞金レースで当時のレートで約10億円獲得したというニュースが耳に入ってきたんです。世界では、民間レベルでしかもベンチャー企業が宇宙開発に取り組む時代がやって来た。そう感じ、チャンスを待っているだけでなく自ら切り開こうと立ち上げたのが、今の会社・PDエアロスペースです。

開発中の新エンジンは、宇宙ビジネスを変える大発明になるかも?

開発中の新エンジンは、宇宙ビジネスを変える大発明になるかも?

パルスデトネーションエンジン

日本の航空宇宙産業を考える上で、エンジン技術の向上は不可欠です。今、当社で開発中なのが、パルスデトネーションエンジン。単純な筒構造で構成されるのにも関わらず、大推力が発生でき、超音速飛行が可能なエンジンです。我々は、これを更に改良し、単一エンジンで宇宙に到達できる、世界初のジェット燃焼モードとロケット燃焼モードを切り替えることを考えています。どういうことかというと…ジェットエンジンを持つ普通の飛行機は宇宙には行けませんよね?ジェットエンジンは外気(空気)を取り入れて燃料を燃やしますから。一方、ロケットエンジンは、宇宙には空気がありませんから外気は使わず機体に予め搭載している酸化剤と燃料を燃やして推力を得ています。つまり、これまでの技術では宇宙空間で飛べるロケットと飛行機は兼用できません。そもそもロケットは、発射後は使い捨てですし。ところが、ジェットエンジンとロケットエンジンをうまく組み合わせ切り替えることができれば、打ち上げ→離陸→飛行→宇宙到達→帰還という一連の流れをすべて、一つの機体でまかなえます。こうすれば、コストを低く抑えられる上、地球環境にも優しい。皆さんがご存じの宇宙旅行に行ける様になるだけで無く、例えば、宇宙にはレアメタルなどの鉱物資源が沢山存在している小惑星があります。そこに行って鉱物資源を採取するとか、宇宙空間では24時間昼夜なく365日天候変化なく、沈まぬ太陽光を使って太陽光発電を行うとか…コストの問題でとても出来なかった宇宙利用が、一気に広がります。今はまだ、小さなラジコン飛行機レベル、実験室での実験レベルですが、そう遠くない将来、多くの人が宇宙へ行けるようになり、地球のエネルギー問題、資源問題を解決できるかもしれない。そんな時代を作っていきたい。という思いでやっています。

緒川社長のサムズアップ:「戦え!」

緒川社長のサムズアップ:「戦え!」

最近話題になっている漫画「進撃の巨人」に出てくるセリフです。絶望的な環境の中でも生きるために進まなきゃいけない。そんな状況で、主人公が「戦え!」と言うんです。これに感激しました。宇宙機開発は、やることなすこと壁だらけです。資金もかかるし、技術的課題も山積、実験をやる場所もない。ひとつでも大きな事故を起こしたら止まってしまう。常に薄氷を踏むが如く、常にギリギリのところで戦っているんです。いちいちくじけていたら先に進めない。みんなは「宇宙開発なんてすごいですね」とか「そんなこと出来るんですか」と言うけど、実態は皆さんが思うようなカッコいいものでは全然ないんです。でも、僕はどんな状況だろうが逃げずに、向かっていきたいと思う。それで、ちゃんと宇宙まで行ったら、「すごいね」と言ってください。今はただ吠えているだけかもしれませんが、それでも自分に言い聞かすんですよ。「戦え!」と。いつか作者の諫山創先生にもお会いしたいですね(笑)。

特別編

夢をかなえる方法、それは成功するまでやり続けること。

夢をかなえる方法、それは成功するまでやり続けること。

子どもの頃、最初になりたいと思ったのは恐竜博士。その後、飛行機が好きな父の影響もあり、パイロットに憧れるようになりました。ありとあらゆるパイロットの試験を受けました。最後は実機での操縦試験までいきましたが不合格。それでも航空宇宙業界に携わりたく、作る方の仕事に就きました。ある日、宇宙飛行士募集の記事を見つけて、「次はこれだ」と早速応募しました。2度受けて、宇宙飛行士用の実験にも参加しましたが、これもまたダメ。そんな中、海外で数十人規模の小さな会社が独自にロケットを作ったことを受けて、「じゃあ作ろう!」と思い立ち、今の自分があるわけです。単に問題の先送りをしているだけです。諦めが悪いんですよね。ただ、当たるまで占い続ける占い師と同じで、成功するまでやるから成功するんだと思います。

宇宙開発エンジニアのアイデア発想法。

アイデアに詰まった時は寝かせます。ダメなものはダメなんだから、置いておくしかない。そんなに無理してもいいアイデアは出てきませんから。ひとつを寝かせている間に、もうひとつの研究を進める。それを同時並行でいくつもやるから、あっちもこっちもやることだらけです。アイディアは寝かせてますが、自分は寝ている時間がありません。起業してから今日まで、そんなことを繰り返す中で新しいアイデアも生まれています。めざすのは「こうなったら楽しいな」と思えるモノを作り出すこと。楽しんでやってなければ、こんな大変なこと、続きません。(笑) スポンサーや協力者の皆さんなど、多くの方の応援を糧に頑張っています。

緒川社長のマイギネス:失敗の数

F1レースでは、カーブを曲がる時に他人よりちょっとブレーキを遅らせられるかが勝負を分けていると思うんです。勝つレーサーは、きっとこんなカーブでスピードを上げたら、危ないという、不安を感じにくいのではないでしょうか。僕もそれと同じで、生活や失敗に対する感性が鈍感なんだと思います。僕の場合は、大手メーカーを辞めてベンチャー企業を立ち上げた時、特に不安や心配はしてませんでした。前に進むことしか考えていませんでした。もし、何かを始めようとする人がいるなら「やれることを全てやりきって、不安を打ち消せばいい」と思います。僕はたくさん失敗しています。研究開発の道は、トライアンドエラーの連続で、結果は、ほとんどが失敗です。でも、くじけない。失敗から学べばいい。失敗して諦めたら何もできないじゃないですか。

会社概要編

会社概要

会社名      PDエアロスペース株式会社
URL       http://www.pdas.co.jp/
代表取締役社長  緒川 修治
設立年月日    2007年5月30日
資本金      1,000万円

連絡先

〒458-0924
愛知県名古屋市緑区有松3519番地
TEL 052-621-6996
FAX 052-621-6996

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